低過ぎる日本の「最低賃金」
最低賃金の引き上げ額を巡る議論が進行中であり、政府は全国平均時給を1000円に上げる意向を示しています。
しかしながら、この金額では生活が厳しい世帯が多く、欧米や韓国に比べて日本の最低賃金は低い状況にあります。
この問題には、識者からも生活を支える水準設定についての議論が出ています。
今回は、最低賃金の現状、他国との比較、および適切な解決策について探っていきたいと思います。
●低過ぎる日本の最低賃金:
最低賃金とは、企業が支払う時給の下限であり、全ての労働者が対象となります。
最低賃金の改定は毎年度あり、国の審議会が夏に引き上げ目安を示した後、都道府県の審議会が生活費の必要額や企業の支払い能力を考慮し決められます。
かつては、主にパートの主婦などが最低賃金近くで働くケースが多く、世帯の収入は正社員の夫の収入によって支えられていることが考慮されていて、低くても問題ないとされていた時代がありました。
しかし現在は、そんな時代とは全く違うということを、未だ認識されてない人がたくさん居られます。
今では、非正規雇用で働く人々が4割近くも増え、最低賃金だけで家計を支えるケースが増加しています。
非正規労働者は、春闘などの賃上げ交渉の恩恵が薄いため、特に最低賃金に依存している傾向が強いのです。
他国と比較すると、日本の最低賃金は欧米や韓国に比べて低い水準にあります。
例えば、英仏独は約1800円前後、豪州は2000円を超えています。
米国は連邦政府の最低賃金が低いですが、半数以上の州が連邦基準よりも高い水準を設定しており、中には2500円を超える地域もあります。
日本は円安の影響もあって、韓国よりも低い水準にとどまっています。
政府が目指す1000円の最低賃金では、1日8時間勤務して月20日間働いた場合、年収が200万円に届かないことになります。
厚生労働省の調査によると、フルタイムの平均給与は月額約31万円であり、これを160時間で割ると時給約1900円となります。したがって、1000円の最低賃金では平均賃金の5割強に過ぎません。
まとめ:
日本の最低賃金は欧米や韓国に比べて低い水準であり、政府が目指す1000円の引き上げでは生活が厳しい世帯が多く存在します。
海外のようにワーキングプアをなくし、所得を底上げする社会政策が必要とされています。
欧州のように、最低賃金を平均賃金にどれだけ近づけるかに目標を変える議論もすべきです。
適切な最低賃金の設定は、労働者の生活を改善し、経済全体の持続的な成長を促進するために重要です。
議論を進めながら、より公平で包括的な解決策を見つけることが求められています。
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