肺炎を起こしやすい高齢者は、肺炎球菌ワクチンの接種を行いましょう。

肺炎球菌は、肺炎・髄膜炎・副鼻腔炎・中耳炎などの原因となる細菌で、主に気道の分泌物に含まれ咳やくしゃみ等で飛沫感染します。
日本では一年間で約10万人の方が肺炎で亡くなっていると言われています。
その肺炎の原因菌の最も頻度が高いのが肺炎球菌です。

特に65歳以上の方は肺炎球菌の感染症になりやすくワクチン接種が必須です。
肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌による肺炎の発症を予防し、重症度を抑制することが期待できます。

肺炎は早期発見と予防がカギになります。
予防として手洗いやうがい、マスクの着用は一般的な感染症の予防に勧められますが、肺炎についても有効です。

さらにその他にも有効な肺炎予防として「ワクチン接種」と「誤嚥(ごえん)の予防」が挙げられます。

誤嚥(ごえん)の予防

 誤嚥性(ごえんせい)肺炎とは、唾液や飲食物などが誤って気管に入り、それと一緒に細菌などが肺に入り込むことで起こる肺炎です。
高齢者では、気管に入ったものを咳で外に出す力が弱くなったり、飲み込む力が弱くなっているため、誤嚥が起こりやすくなります。
誤嚥性肺炎の多くは唾液に含まれる細菌が原因になります。常に口の中を清潔に保つことは肺炎予防にとっても重要なことなのです。

肺炎球菌のワクチン接種

 肺炎球菌には90種類以上のタイプがあり、次の2種類のワクチンがあります。

(1)『ニューモバックスNP』 

 23種類の肺炎球菌をカバーする、定期接種の対象、5年間効果あり。肺炎球菌感染症の原因菌のカバー率は65~68%『ニューモバックスNP』は、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の年齢であれば定期接種となり、一生に一度だけ補助の対象となります。ただし5年ほどしか効果が無いため、5年後にはもう一度『任意』接種が必要となります。

(2)『プレベナー』 

 13種類の肺炎球菌をカバーする、任意接種のみ、一生効果が続く。肺炎球菌感染症の原因菌のカバー率は41~48%『プレベナー』は、一度接種すると一生効果があると言われており、2回打つ必要はありません。ただし肺炎球菌のカバー率はやや劣ります。

肺炎球菌ワクチンの接種方法は、
1.「ニューモバックス」をすでに接種されている方の場合、1年以上あけて、「プレベナー13」を接種
2.「ニューモバックス」を接種されていない方の場合、「プレベナー13」を接種後、6か月~4年以内に「ニューモバックス」を接種
※2つの肺炎球菌ワクチンを併用することで、より高い肺炎予防効果が得られます。

まゆみ

肺炎球菌感染症とはどんな病気ですか?

肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。
この菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされます。
これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。

まゆみ

高齢者肺炎球菌ワクチンを定期接種すると公費助成を受けられますか? 

毎年度末までに、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の誕生日を迎える人です。
但し、一生に一度だけ補助の対象となります。

まゆみ

肺炎球菌のワクチンは何回打てばいいですか?

2回接種を推奨 
肺炎球菌ワクチンの予防効果の指標は抗体価だけではありませんが、初回接種から4〜7年たつと抗体価が大きく下がってしまうことが分かっているため、5年後に2回目の接種をすることが推奨されています。

まゆみ

肺炎球菌ワクチンの全額自己負担額はいくらですか?

65歳以上で定期接種を1度受けた人は、全額自己負担(8,000円程度)となります。

まゆみ

肺炎球菌ワクチンは打ったほうがいいですか?

ワクチン接種を特にお勧めする人
慢性呼吸器疾患(COPDなど)、糖尿病、喫煙者、心疾患、腎不全、肝疾患、血液悪性腫瘍をお持ちの方は、肺炎球菌に感染するリスクが特に高いので受けておいたほうが良いでしょう。

まゆみ

高齢者が肺炎球菌ワクチンを接種すると、どんな副反応がありますか?

高齢者を対象とした肺炎球菌感染症予防接種の副反応
接種部位の症状(痛み・赤み・腫れなど)、筋肉痛、だるさ、発熱、頭痛などがあらわれることがありますが、そのほとんどが軽症で一時的なものです。

まゆみ

がんの患者でも、肺炎球菌ワクチン接種を受けることができますか?

できます。肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンですので、接種自体で肺炎球菌感染症を発症することはありません。そのため安全性の面では、がんではない方と変わりません。一方で効果の面では、高度に免疫機能が低下した状態の間は、ワクチンの効果が十分得られないことがありますので、がんの症状や全身状態によってワクチン接種の時期などを検討する必要があります。まずはがん治療の担当医に相談してください。

肺炎予防のためにできること

毎日の感染予防

(1)手洗い、うがい、マスクの着用
(2)歯磨きなどで口腔内を清潔にする
(3)誤嚥(ごえん)を防ぐ

予防接種を受ける

(1)高齢者が肺炎を防ぐ方法として、「成人用肺炎球菌ワクチン」の接種があります。
(2)インフルエンザをきっかけに肺炎にかかる人も多いことから、インフルエンザの予防接種も肺炎予防になります。(3)また最近では新型コロナウイルス感染症の感染拡大もあり、新型コロナワクチンの接種も大切です。

免疫力を高める

(1)食事や睡眠などをきちんととって規則正しい生活をする。
(2)持病がある方はその治療につとめる。
(3)たばこは免疫力を低下させ、気管や肺にも悪い影響を及ぼすので禁煙する。

まとめ

肺炎は、日本人の死因の第3位を占めています。その原因菌として最も多いのが肺炎球菌です。
肺炎球菌は肺炎だけでなく、慢性気道感染症、中耳炎、副鼻腔炎、敗血症、髄膜炎などの肺炎球菌感染症の原因になります。
高齢者用肺炎球菌ワクチン(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)は、肺炎球菌莢膜型の約80%に対応することができ、ワクチンの接種により肺炎の予防や肺炎にかかっても軽い症状ですむ効果が期待できますので、接種を強くお勧めします。

尚、肺炎球菌ワクチンの情報は、東広島市の「真愛病院」のホームページを参考にさせて頂きました

<言葉の意>

免疫とは:
感染症から自分の体を守る仕組みで、体内に入ってきた微生物を攻撃したり、一度かかった感染症にかかりにくくしたりする働きがあります。免疫機能が低下した状態では、肺炎球菌による感染症を起こしやすくなりますので注意が必要です。

脾臓(ひぞう)とは:
血液中の古くなった赤血球をこわすはたらきをしています。 また、からだの中に入ってきた病原菌や細菌などとたたかう抗体を作ったり、新しい血液を溜(た)めるはたらきをしています。

健康

Posted by Ka Shiba