NTTを完全民営化にするなら、電柱などの通信インフラを切り離した公的な設備管理会社を設置すべき
総務省は、NTT法の見直しを情報通信審議会に諮問し、2024年夏までに答申するよう求めている。現在のNTT法は、NTTが全国で固定電話サービスを提供すること、政府がNTT株の3分の1以上を保有することなどを義務付けている。
大手通信3社は、公正な競争が阻害されるとしてNTT完全民営化に反対しています。NTTは、日本電信電話公社(電電公社)時代から整備してきた電柱などの通信インフラを全国に持つ。完全民営化されたり規制が大幅に緩和されたりすれば、競争条件は対等でなくなると主張しています。
筆者も、大手通信3社の意見に賛同すます。NTTの完全民営化は、以下の理由から公正な競争を阻害し、国民の利益を損なう可能性があります。
1. NTTは通信インフラの寡占企業となる
NTTは、固定電話やインターネット、携帯電話など、あらゆる通信サービスを提供する大手通信事業者である。また、電柱などの通信インフラを全国に有しており、そのシェアは約9割を占める。
NTTが完全民営化されると、NTTは通信インフラの寡占企業となる。NTTが自社の通信インフラを他社に貸し出す場合、他社はNTTに高い使用料を払わなければならない。そのため、他社はNTTに対抗するために、高額な料金でサービスを提供しなければならなくなる。
2. NTTは他社を排除する可能性が高い
NTTは、通信インフラの寡占企業となることで、他社を排除する可能性が高い。NTTは、自社の通信インフラを他社に貸し出す際に、他社がNTTのサービスを優先的に利用するように条件をつけることが可能となります。
そのため、他社はNTTのサービスを優先的に利用しなければ、NTTの通信インフラを利用できなくなる恐れがあります。結果として、他社はNTTの競争相手として生き残ることが難しくなるでしょう。
3. 国民の選択肢が狭まる
NTTが完全民営化されると、国民の選択肢が狭まる可能性があります。NTTは、通信インフラの寡占企業となることで、他社を排除し、独占的な地位を築くことができます。
そのため、国民はNTTのサービスしか選択できなくなる恐れがあります。結果として、国民は高額な料金でサービスを利用しなければならなくなるでしょう。
以上の理由から、筆者はNTTの完全民営化に反対します。もし完全民営化する場合は、NTTグループと電柱などの通信インフラを切り離した公的な設備管理会社を設置すべきであると思います。
公的な設備管理会社は、すべての通信事業者に公平に通信インフラを貸し出すことができます。そのため、公正な競争を促進し、国民の利益を守ることができるでしょう。
まとめ
NTTの完全民営化は、公正な競争や消費者の利益、国の安全保障に重大な影響を与える可能性があります。完全民営化を容認するとしても、公的な設備管理会社を設置することで、これらのリスクを軽減できると考えられます。
なお、公的な設備管理会社を設置する際には、以下の点に留意すべきであると考えます。
- 独立性を確保する
公的な設備管理会社は、政府や特定の事業者からの干渉を受けることなく、独立して業務を遂行できる体制を整える必要があります。
- 透明性を高める
公的な設備管理会社は、その業務内容や財政状況を透明に公開することで、国民の信頼を得る必要があります。
- 効率性を追求する
公的な設備管理会社は、無駄を省いて効率的に業務を遂行することで、コストを抑え、国民負担を軽減する必要があります。
今後、総務省はNTT法の見直しに向けた議論を進めていくことでしょう。NTTの完全民営化を検討する際には、上記の点を踏まえて、慎重な議論を行う必要があると思います。
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