地方創生、なぜ成果が出ないのか?…真の自立に向けた処方箋

 石破茂首相が施政方針演説で地方創生を最重要政策に掲げたことは、地方が抱える課題の深刻さを物語っています。しかし、過去の例を見るまでもなく、単なる掛け声や補助金頼みでは、真の地方創生は実現しません。なぜ過去の政策は失敗に終わったのか、その原因を掘り下げ、地方が主体的に課題解決に取り組むための道筋を探って見ようと思います。

1. 過去の地方創生政策の失敗要因

  • 主体性の欠如
    • 多くの自治体は、国の補助金に依存し、自らの地域課題を深く掘り下げ、主体的に解決策を模索する姿勢を欠いていました。「国から言われたから」「補助金が出るから」という受け身の姿勢では、地域の実情に合わない画一的な事業しか生まれません。
  • 独自性の欠如
    • 全国どこでも同じような観光施設やイベントが作られ、地域の特色や強みが活かされていませんでした。結果として、観光客の誘致競争は激化し、疲弊する地域も少なくありません。
  • 外部依存の弊害
    • 職員が自ら考えることを放棄し、企画立案をコンサルタントに丸投げするケースが多く見受けられました。コンサルタントは、短期間で成果を出すために、どこでも通用する無難で画一的な提案に走りやすく、地域固有の課題や可能性を見落としがちです。
  • 住民参加の不足
    • 地方創生は、一部の行政職員や専門家だけで進めるものではありません。地域住民が主体的に参加し、意見を出し合い、協働することで、初めて地域に根差した持続可能な事業が生まれます。

2. 真の地方創生に向けた課題解決の視点

  • 地域課題の深掘りと独自戦略の策定
    • 各自治体は、人口減少、高齢化、産業衰退など、自らが抱える課題を徹底的に分析し、その根本原因を突き止める必要があります。その上で、地域の歴史、文化、自然、産業などの強みを最大限に活かした、独自性あふれる戦略を策定することが重要です。
  • 住民参加型まちづくりの推進
    • 住民が主体的に地域課題に取り組み、解決策を考え、実行に移すための仕組みづくりが不可欠です。ワークショップや意見交換会などを通じて、住民の声を積極的に取り入れ、合意形成を図ることが重要です。
  • 地域資源の再評価と活用
    • 地方には、豊かな自然、伝統文化、地域特産品など、多くの魅力的な資源が存在します。これらの資源を再評価し、磨き上げ、新たな価値を創造することで、地域経済の活性化につなげることができます。
  • 多様な主体との連携
    • 地方創生は、自治体だけでなく、企業、大学、NPOなど、多様な主体との連携が不可欠です。それぞれの強みを活かし、協働することで、より効果的な事業展開が可能になります。
  • 情報発信と交流の促進
    • SNSなどを活用した情報発信を強化し、地域の魅力を国内外に広く発信することが重要です。また、国内外の都市部との交流を促進し、新たな人の流れを生み出すことも有効です。

3. 地方創生事業実現への道筋

  • 高齢化社会への対応
    • 高齢者の健康増進、介護予防、生活支援など、多様なニーズに対応したサービスを再構築する必要があります。地域包括ケアシステムの強化や、ICTを活用した見守りサービスの導入などが考えられます。
  • 地域産業の活性化
    • 中小企業、農家、商店などが連携し、地域ブランドの確立や新商品の開発に取り組むことが重要です。また、観光と連携し、地域特産品を活かした体験型観光などを推進することも有効です。
  • 観光戦略の見直し
    • 従来の観光資源に加えて、地域の日常や文化を体験できるような、滞在型観光を推進する必要があります。また、SNSなどを活用した情報発信を強化し、国内外からの観光客誘致を目指すことも重要です。
  • 地域完結型社会の構築
    • 医療、教育、エネルギー、食料など、生活に必要な機能を地域内で完結できるような、持続可能な地域社会の構築を目指す必要があります。再生可能エネルギーの活用や、地産地消の推進などが考えられます。
  • 中間支援組織の育成
    • 住民と行政の間に立ち、両者の橋渡し役となる中間支援組織の育成が重要です。NPOや地域おこし協力隊などが、地域課題の解決に向けた活動を支援することで、住民の主体的な取り組みを促進することができます。

まとめ

 地方創生は、一朝一夕に成果が出るものではありません。しかし、各自治体が主体性を持ち、地域住民、企業、大学など、多様な主体と連携しながら、地域課題の解決に取り組むことで、必ず道は開けると考えます。過去の失敗から学び、新たな発想と行動力で、持続可能な地域社会の実現を目指しましょう。

ACJapan の広告で 「気づきを、動きに」 の標語にもありますように、

できるできないより、動けば町が元気になる」これだと思います。

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