闇バイト対策の防犯機器購入補助が想定を大幅に上回る

2025年2月1日

 近年、全国的に「闇バイト」と呼ばれる高額報酬を謳(うた)う違法行為への関与が社会問題化しており、強盗や特殊詐欺といった犯罪の温床となっています。
特に首都圏を中心に被害が多発する中、鳥取県においても県民の不安は高まっており、その対策は喫緊の課題となっていました。こうした背景を受け、鳥取県は県民の安全・安心を確保するため、防犯機器の購入を補助する事業を創設しました。
しかし、その申請件数は当初の想定を大幅に上回り、予算の大幅な増額を余儀なくされる事態となっています。

補助事業の背景
 高まる県民の不安と行政の迅速な対応

闇バイトは、SNS等を通じて若者を中心に勧誘が行われ、高額報酬と引き換えに強盗や詐欺などの犯罪行為に加担させるものです。実行犯は使い捨てにされることが多く、背後には組織的な犯罪グループの存在が示唆されています。こうした犯罪は、被害者だけでなく、地域社会全体に不安と不信感をもたらします。
鳥取県においても、こうした状況を看過することはできず、県民の安全・安心を守るための具体的な対策が求められていました。
そこで鳥取県は、2024年度の当初予算において、防犯機器の購入を補助する事業を盛り込みました。これは、県民一人ひとりの防犯意識を高め、自主的な防犯対策を促進することで、犯罪の抑止につなげることを目的としています。
行政が迅速に対応し、具体的な施策を打ち出したことは、県民にとって心強いメッセージとなっています。

補助の内容
 手厚い支援で防犯対策を後押し

この補助事業では、1世帯あたり1回限り、上限1万5千円の補助金が支給されます。これは、防犯機器の購入費用の一部を補助することで、県民の負担を軽減し、防犯対策への取り組みを促進することを目的としています。
補助対象となる機器は、以下の3種類です。

  1. カメラ付きドアホン
     
    玄関前にいる来訪者を室内のモニターで確認できる機器で、不審者の侵入を未然に防ぐ効果が期待できます。
  2. 防犯カメラ
     
    夜間の撮影も可能な防犯カメラは、犯罪の証拠となる映像を記録するだけでなく、犯罪抑止効果も期待できます。
  3. センサーライト
     
    屋外に設置し、人や動物に反応して自動で光を照射するセンサーライトは、夜間の不審者の侵入を防ぐ効果があります。

これらの機器は、単独での申請はもちろん、複数を組み合わせての申請も可能です。
これにより、各家庭の状況やニーズに合わせた効果的な防犯対策が可能となっています。

想定外の申請件数
 県民の防犯意識の高まりと今後の課題

当初、鳥取県は300件の申請を想定し、事業費450万円を確保していました。
しかし、受付開始からわずか2週間で、申請件数は1261件、申請金額は約1800万円と、想定を大幅に上回る状況となりました。
この想定外の状況を受け、鳥取県は予備費5000万円を活用し、事業を継続することを決定しました。これは、当初予算の約4倍にあたる金額であり、県民の防犯意識が非常に高まっていることを示しています。

この状況は、行政にとっては嬉しい誤算と言えるでしょう。県民が自ら防犯対策に取り組む姿勢は、地域全体の安全・安心の向上に大きく貢献します。
しかし、同時に今後の課題も浮き彫りになりました。それは、予算の確保と事業の継続性です。
今回、不足分を予備費で対応したものの、今後も同様の状況が続く場合、安定的な財源の確保が必要となります。
鳥取県の平井知事は、今後の予算措置についても言及しており、県として継続的な支援を行う姿勢を示しています。

まとめ
 県民と行政が一体となった防犯対策の推進を

鳥取県の防犯機器購入補助事業は、県民の防犯意識の高まりと、行政の迅速な対応が相まって、大きな成果を上げています。想定を大幅に上回る申請件数は、県民の安全・安心への強い願いの表れと言えるでしょう。
今後は、予算の確保と事業の継続性を図りながら、県民と行政が一体となった防犯対策を推進していくことが重になります。
今回のこの事業を通して、鳥取県だけでなく全国の都道府県や自治体でも、「強盗や特殊詐欺といった犯罪対策」に対して、このような事業を立ち上げていただき、住民の安全・安心のために貢献できる施策を行っていただくことを切に願っています。