石油元売会社へ莫大な補助金を支給するより、ガソリン税の「トリガー条項」凍結解除の方が、ガソリン価格の抑制に効果的

2024年1月5日

 ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する「トリガー条項」をめぐり、国民民主党は11月30日に自民・公明両党とともに3党の政務調査会長が会談し、今後の議論の進め方を協議することを明らかにしました。
国民民主党の古川国会対策委員長は、ガソリン税の「トリガー条項」について、現在行っている補助金終了後は「凍結解除が好ましい」と述べています。

その理由は、以下のとおりです。

1. ガソリン税の補助金は、財政負担が大きい

 現在、政府はガソリン税の補助金を実施しています。これは、ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止し、代わりに石油元売業者に補助金を支給するものです。

この補助金の財政負担は、2023年度予算では1兆円を超えると見込まれています。これは、2022年度の補助金の約3倍に相当します。

2. ガソリン税の補助金は、効果が限定的

 ガソリン税の補助金は、ガソリン価格を抑える効果はありますが、その効果は限定的です。

これは、ガソリン価格は、原油価格だけでなく、為替レートや国際情勢など、さまざまな要因によって変動するためです。

また、ガソリン税の補助金は、ガソリン価格を抑えるためだけに実施されているため、他の物価への影響も懸念されています。

3. ガソリン税の凍結解除は、ガソリン価格の抑制に効果的

 ガソリン税の凍結解除は、ガソリン価格を抑える最も直接的な方法です。

ガソリン税は、ガソリン価格の約4割を占める重要な構成要素です。そのため、ガソリン税を凍結することで、ガソリン価格を大幅に抑えることができます。

また、ガソリン税の凍結解除は、他の物価への影響も小さいと考えられます。

4. ガソリン税の凍結解除は、国民の生活を支える

 ガソリン価格の高騰は、国民の生活に大きな負担をかけています。

特に、自動車を利用する家庭や事業者は、ガソリン価格の高騰によって家計や経営が圧迫されています。

ガソリン税の凍結解除は、ガソリン価格の高騰による国民の負担を軽減する効果が期待できます。

5. ガソリン税の凍結解除は、経済対策にもつながる

 ガソリン価格の高騰は、景気にも悪影響を及ぼしています。

ガソリン税の凍結解除は、ガソリン価格を抑えることで、景気への下押し圧力を緩和する効果が期待できます。

また、ガソリン税の凍結解除は、国民の購買意欲を刺激し、消費を拡大する効果も期待できます。

トリガー条項とは(*NHKの「政治のことば」より引用させて頂きました)
ガソリン税とよばれる税金のおよそ半分をガソリン価格が高騰したときには一時的に免除して消費者の負担を抑えましょうという仕組みで、2010年に当時の民主党政権のときに導入されました。
ガソリン税は「揮発油税」と「地方揮発油税」を合わせた総称で、1リットル当たり合わせて53.8円が課されていて、このうち25.1円が本来の課税額に上乗せされています。
「トリガー条項」は、この上乗せ分について、全国平均のガソリンの小売価格が1リットル当たり160円を3か月連続で超えた場合、自動的に減税する仕組みです。
一方で、平均の小売価格が3か月連続で130円を下回った場合、上乗せ分の25.1円の課税が復活します。
また、トラックなどの燃料に使われる軽油についても地方税である「軽油引取税」が課されています。課税額は1リットル当たり32.1円ですが、このうち17.1円が上乗せ分となっていて、ガソリン税と同様の「トリガー条項」が導入されています。
政府は、2011年の東日本大震災のあと、復興財源を確保するためこの「トリガー条項」を凍結し、現在もその状態が続いています。

しかし、この時「トリガー条項」を凍結する期間が設定されていないのが問題で、無し崩し的に現在も「トリガー条項」を凍結したままで、解除するつもりがないようです。
トリガー条項を巡っては、首相が22日の衆院予算委員会で「凍結解除も含めて与党と国民民主党で検討したい」と述べています。
しかし、財務相や経産省は24日の閣議後の記者会見で、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除について「国、地方の財政への多大な影響があり、凍結解除は適当でないと考えている」との認識を示し反対の立場を取っている。
「トリガー条項の発動」は法律で決まっていたものを、財政への影響があると国民が生活苦で困っているのに、国民の事よりも財政の旨みばかりを考えて凍結解除しないでいる。
と言うよりも、本来ならトリガー条項を発動して減税を行い、ガソリン価格を下げるべきところを、あえて石油元売り会社に補助金を支給する方法を選択するのは、何か癒着に繋がる行為を行なっていると言う噂がちらほら聞こえてくるようだ。

まとめ

 以上の観点から、ガソリン税の「トリガー条項」の凍結解除は、現在行っているガソリン税の補助金を支給する方法よりも財政負担が少なく、大変好ましい政策だと言えます。
ただし、ガソリン税の凍結解除は、税収の減少につながるのは確かです。
だからこそ、国民生活への影響を最小限に抑えつつ、財政の健全化も図れるように、ガソリン税の補助金を無駄に支給するよりも、ガソリン税の「トリガー条項」を期限を設定して発動(凍結解除)した方が、ガソリンの価格が安くなる良い方法だと思いますが、皆さんはどう思いますか?

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Posted by Ka Shiba