少子化の原因は「子育て支援」にあらず!

2023年8月17日

日本では、出生率が低下し、少子高齢化が進んでいます。

厚生労働省が発表した2022年の人口動態調査では、合計特殊出生率は1.26で、7年連続で低下しています。

政府は6月13日に、少子化対策として「こども未来戦略方針」を閣議決定しました。

①児童手当の拡充

②保育サービスの充実

③育児休業給付の増額

などによる仕事と育児の両立支援に重点が置かれました。 

そして、必要な予算は「3兆5000億円」とかなり巨額な予算配分となっています。

しかし、その巨額な予算には、

①少子化対策の数値目標

②金額の根拠

などは、全く明らかにされていません。

政府の「異次元の少子化対策」とはなんぞや…?

政府の「こども未来戦略方針」の説明で感じるのは、国民ウケの良い大風呂敷(ことば)をどんどん広げる中で「医療・介護の利用者負担を増やすのか、増税して財源を確保するのか」なども含めて、論点を見えにくくし、国民を煙に巻こうとしているように見える。

そもそも子育て支援は本来、少子化対策とは別の次元の話ではないでしょうか。

子育てはそれぞれの家庭の幸せのためであり、支援策が出生率を上げて将来の国の人口維持に結びついたとしても、それはあくまで結果論です。

目の前の暮らしが、これからどうなるか。とりわけ若い世代が知りたいのはそこだろうと思う。

日本の少子化の最大の原因は、非婚化と晩婚化にあると云われています。

若い世代の多くが、非正規雇用などによる低所得のため、生活基盤が不安定で結婚できないでいることも要因です。

政府も与党も、若者の所得を増加させる必要性を言及はしていますが、

非正規雇用などの対策はやっていません。

今回の対策では、

結婚している世帯の子育て支援に集中しているので、所得の高い(子育て)世帯への所得再分配が手厚くなります。

一方、所得の低い単身世帯への配分はなく、未婚者に対する具体的な対策が欠落しています。

これでは、若い世代の収入の違いによる格差が拡大し、社会的対立を招くことになりかねません。

子育て支援は『子どもを育てる』ことを支援する内容で、『子どもを産む』=「結婚する」こととは、支援する内容が異なります。

故に、子育ては少子化対策の根本原因にはならないと思います。

少子化の原因対策

低所得者への対策

 非正規雇用などの働き方改革(同一労働 = 同一賃金)

未婚者への対策

 若い男女の「出会い」を促進する(出会い促進法?など)

①低所得者と②未婚者の対策を行なってから「子育て支援」へと進むのが本来の手順だと思います。

少子化の根本原因に焦点を当て対策を講じない限り、今回の子育て支援では、ほとんど効果が出ないばかりか「こども未来戦略方針」が逆に、少子化対策に負の効果を招いてしまう恐れがあると感じます。

政府も与党も、少子化の危機感を強調するだけでなく、政策のありようを具体的かつ正確に、財源も含めて語るべきです。

政局や党利党略とは切り離して、国民に分かるように説明すべきなのは言うまでもありません。

まとめ

兵庫県明石市の市長を3期12年間務めた時に、子育て政策で全国的に注目を集められた弁護士の泉房穂さんは、

少子化対策は、国民に対して「結婚してもやっていける」といった『将来への安心感』を提供してこそ効果が生じると思う。

「今回の少子化対策では、ほとんど効果は出ないと思う」と厳しく指摘されています。

「合計特殊出生率」とは、女性が一生のうち何人子供を産むのかを計るための指標です。

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Posted by Ka Shiba