出雲村田製作所が安来に新工場を建設する!…その意義と影響
電子部品製造の村田製作所グループの国内子会社である出雲村田製作所(島根県出雲市斐川町)は、2024年1月20日、安来市切川町に新工場を新設すると発表しました。
新工場は、山陰道(高速道)と切川バイパス(県道)が上下に交差する所から南側に位置する場所です。その周辺には水田地帯が広がっています。最大約20ヘクタールの用地を取得して建設を進め、2030年ごろの完成を目指す予定です。
操業当初は従業員200~300人の体制でスタートし、需要をにらみながら設備を整え、将来的に千人規模の体制で電子部品を生産していくと表明しています。
安来市は23年9月、建設予定地を含む約100㌶のエリアについて、事業所の立地を促すように都市計画マスタープランを修正しています。 国土交通省が付近の山陰道に「安来スマートインターチェンジ」を設置する方向で調査を進めています。
また安来市は、計約23万人の生産年齢人口 (15~64歳)を擁する中海圏域(松江、安来、米子、境港各市)に位置しており、人材確保の観点からも優位性があると判断したとみられます。
新工場では、スマートフォンや自動車向けの電子部品の生産を予定しているようです。村田製作所グループは、世界最大の電子部品メーカーであり、スマートフォンや自動車など、さまざまな機器に欠かせないコンデンサやセラミックチップなどを製造しています。
出雲村田製作所は、1947年に創業した老舗企業であり、村田製作所グループの国内生産拠点の一つとして、主にセラミックコンデンサの製造を行っています。
今回の新工場建設は、近年拡大する電子部品の需要に対応するためのもので、村田製作所グループは、今後も積極的な設備投資を進め、世界トップシェアの維持・拡大を目指しています。
◎新工場の建設がもたらす経済効果
出雲村田製作所の新工場建設は、島根県の経済に大きな影響を与えると考えられます。
まず、直接雇用による効果が期待されるほか、新工場の操業当初は従業員200~300人体制でスタートし、将来的には千人規模の雇用創出が見込まれるそうです。
また、工場建設や操業に伴う関連事業の需要も拡大すると考えられます。工場建設には、土木や建築などの建設業や、機械や電気設備などの製造業が参入することになります。また、工場の操業には、物流や運輸業、飲食業などのサービス業も必要となることでしょう。
さらに、新工場の建設場所は、山陰道(高速道路)沿いに位置し「安来スマートインターチェンジ」も設置される予定のため、交通の利便性が非常に高くなります。これにより、新しい企業の誘致や全国的にも有名な「足立美術館」などへの観光客の増加にもつながると考えられています。
◎地域活性化への期待
出雲村田製作所の新工場建設は、安来市はもとより周辺地域の活性化にも大きな期待が寄せられています。
安来市は、古くは「伯耆富士」と呼ばれる大山(鳥取県西部)を背景に、高級特殊鋼「ヤスキハガネ」を代表とする製鉄業や鋳物業などの重工業が盛んな地域でした。しかし、近年は、産業の衰退や人口減少など、さまざまな課題を抱えています。
そうした中、出雲村田製作所の新工場建設は、新たな雇用や産業を創出し、地域の活性化につながる大きなチャンスと期待されています。
◎まとめ
出雲村田製作所は、地域に根差した企業であり、地元の人材を積極的に採用しています。また、地域貢献にも積極的で、教育やスポーツなど、さまざまな分野で支援を行っているようです。
今回の新工場建設は、出雲村田製作所のさらなる成長と、安来と周辺地域の活性化につながるものと期待しています。
特に、千人規模の雇用創出は、安来と周辺地域の若者にとっては大きな希望となるのではと思います。また、工場建設や操業に伴う関連事業の需要拡大も、地域経済の活性化につながると考えられています。
もちろん、新工場建設には課題もあるでしょう。
例えば、環境への配慮や、出雲市斐川町の出雲村田製作所がそうだったように、国内だけでなく、国外の人材も受け入れる必要もあるでしょう。それには、国外の人材と地域住民との共生が必要です。
安来市も、これからは多文化共生の理念を広め、地域社会全体での協力を得ることが安来の発展には肝要になってきます。
その点では、出雲村田製作所は、これまでも地域と協力しながら事業を展開してきた、斐川町での実績があります。
新工場は、地域経済の活性化に大きく貢献するだけでなく、地域の技術力や人材の育成向上にもつながると考えられます。
私は、出雲村田が、今後も山陰地域に根ざした企業として、地域の発展に貢献し続けることを期待しています。
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