雪崩(なだれ)を打つごとき、SNSでの世論の危うさを実感させられた(某)県知事選に思う

 11月に行われた(某)県知事選の結果は、衝撃的なものだった。

議員全員による不信任で失職した前知事が再選されたのだ。 選挙前には「終わった人」とまで評されたS氏が選挙終盤に一気に支持を集めた背景には、交流サイト(SNS)を中心としたS氏の再評価と対抗候補への批判に向けた情報発信のうねりがあったとされている。とりわけ、注目を浴びたのは、S氏再選を支援するためと突然立候補した 「○○から国民を守る」 党首のT氏であった。

 T氏の手法は、選挙管理委員会や大手マスコミが選挙期間中において規制や報道が抑制的である状況を逆用し、下劣と言ってもよい個人情報の暴露を突破口として情報の流れをS氏の有利な方向に曲げていくものだった。そして、結果としてSNSで生じたS氏の知名度アップを、より膨らませる結果に至った。選挙後しばらく経過した今、T氏の主張のほとんどは、根拠が極めて薄弱であることが判明している。悪意ある情報操作により一種の「選挙ジャック」が行われたと言ってよいのではないか。

ルール違反を逆手に取る卑劣な行為

 そして、もう一つの問題が今回の(某)県知事選挙に立候補した、前○○市長の I 氏の後援会へのSNSでの選挙妨害です。

 I 氏の後援会「ともにつくる○○みらいの会」によりますと、選挙期間中の今月6日、「後援会のXの公式アカウントが突然凍結」され、投稿や閲覧ができなくなりました。

また、今月12日に「別のアカウントを開設しましたが、このアカウントも開設した当日に凍結」されたということです。

 これらは明らかに、有力候補であった I 氏への、「ルールに違反した場合はアカウントが凍結」されることを狙った、選挙妨害という卑劣な陰謀(犯罪)で、裏で操作されていたのだろうと推測されます。

選挙に勝つためには、何をやっても構わないのか!

 Xのホームページによりますと、

Xではbot(ボット)を使用したり、継続的に攻撃的な行為やハラスメントヘイト行為のほか、特定の人物を標的にした嫌がらせなどを禁止していて、ルールに違反した場合はアカウントが凍結されるとしています。

X(旧Twitter )などSNSを使用した選挙運動の問題点

 (1)虚偽情報の拡散

 事実確認が不十分な情報が拡散しやすく、選挙の公正性を損なう。

 (2)誹謗中傷

 候補者や有権者に対する誹謗中傷が横行し、健全な議論を妨げる。

 (3)プライバシー侵害

 個人情報が不正に利用されるリスクが高く、個人の尊厳を侵害する。

 (4)アルゴリズム(bot)による情報操作

 プラットフォームのアルゴリズム(bot)が、特定の情報を過度に拡散させ、情報操作につながる可能性がある。

雪崩打つ世論の危うさ

 このような、従来にないSNSによる選挙情報のいわば集中豪雨的「我田引水」化は、今年7月に行われた都知事選挙においても、(某)県○○市長を辞めて立候補したM氏による予想外の大量得票にも寄与したようです。

共通する問題点としては、肝心の「具体的な政策論議」に踏み込まず、自他の候補者のイメージを不均等に誇張して伝える中で、情報の奔流で圧倒し「バスに乗り遅れるな」的な支持を広げていったことにあります。

 まさに、「」が設定されることで、日頃の不満の吐口(はけぐち)が出来、同調する人が多くなると一体感さえ生じてくる。偽政者にとっては好都合(思う壺)だろう。

改むるに憚(はばか)ることなかれ

 このような批判をすると、すぐに「お前は民意を無視するのか」などと言うような声が上がりそうですが。

しかし、間違った情報を前提とした投票行動は、当然ながら間違った結果へとつながることに。

有権者もまた時として間違うという事実を認めなければならない。
問題なのは、有権者が政治家選びで間違うと、後でとても「高くつく」こと、そして政治家、特に独裁的な政治家は、めったに自らの間違いを認めないことだ。

 リンカーンは、「一部の人たちを常に、そして全ての人たちを一時的にだますことはできるが、全ての人たちを常にだますことはできない」という言葉を残しています。

有権者も自らが間違うことを認めた上で、必要であれば誤りを認め改める勇気を持つ政治家を、選び直していきたいものです。幸いなことにそのための権利も手段も私たちは有している。

 若い人が、YouTubeなどの動画サイトやXなどのSNSを利用して選挙に参加することは非常に良い傾向ではありますが、 動画サイトやSNSでは「真実を曲げて情報を発信されることがある」と言うことを知って欲しい。
特に、選挙では「情報の信頼度を確認すること」を肝に銘じてほしいと感じました。

終わりに

この記事では、

(一般社団法人)接続可能な地域社会総合研究所の所長である、

藤山浩さんが新聞に投稿されていた記事を引用させていただきました。

私も、今回の(某)県知事選挙には、納得いかない腹立たしさがありましたので、藤山浩さんの新聞掲載の内容には感銘させられました。そして、その記事を読んでいくうちに、私の気持ちをBlogとして記載させて頂こうと思いました。

藤山浩さんには、厚く御礼申し上げます。

語意 >

 インターネット上で事前に設定された処理を実行するプログラムのことで、自動化されていて、人間のユーザーが毎回手動で起動しなくても、指示に従って継続的に実行される。

人間に変わって作業を行う機械「ロボット(robot)」が語源となっている。

 特定の個人や集団、団体などの人種、宗教、民族的な文化などを差別的な意図をもっておとしめる言動。
 一般的な悪口はヘイトスピーチには当たらず、対象への明確な差別的な意図に基づく暴言や差別的行為を先導する言動などを指します。

 人に対する「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為を指します。 具体的には、属性や人格に関する言動などによって相手に不快感や不利益を与え、尊厳を傷つけることです。

 過ちを犯したことに気づいたら、体裁や対面などにとらわれず、ただちに改めるべきだという戒(いまし)め。