亜鉛2次電池の実用化が、いよいよ間近?
亜鉛2次電池とは、正極にニッケル、負極に亜鉛を用いた二次電池です。
リチウムイオン電池などに比べて、安全性が高い、安価に製造できる、リチウムの枯渇リスクが少ないなどのメリットがあります。
しかし、従来の亜鉛2次電池は、充電時に負極から亜鉛が樹状状に析出する「デンドライト」が発生し、セパレータを貫通して短絡するという問題がありました。
そのため、実用化が進んできませんでした。
近年、日本ガイシは、2021年12月に亜鉛2次電池「ZNB」を開発し、2022年4月に商用化しました。
ZNBは、独自のセラミックセパレーターを採用することで、充放電サイクル寿命を1万回以上に延長しています。
また、三井金属と同志社大学は、2020年に亜鉛2次電池の充放電サイクル寿命を5000回以上に延長する技術を開発しました。
この技術では、亜鉛負極の表面に微細な凹凸をつけることで、デンドライトと呼ばれる亜鉛の樹状結晶の成長を抑えています。
これらの電池は、充放電サイクル寿命が従来の10倍以上となり、実用化に向けて大きく前進しています。
亜鉛2次電池が実用化されれば、リチウムイオン電池の代替として、電力貯蔵やモバイル機器などの分野で広く使われることが期待されています。
具体的なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 安全性が高い:
電解液に可燃性の有機溶剤を使用せず、水溶液を使用するため、安全性が高く設置場所を選ばない。 - 安価に製造できる:
亜鉛は地球上に豊富に存在する資源であり、製造コストが低い。 - リチウムの枯渇リスクが少ない:
リチウムは希少資源であり、枯渇の懸念がある。
亜鉛2次電池は、リチウムイオン電池に比べてリチウムの使用量が少ないため、枯渇リスクが少ない。
デメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- エネルギー密度が低い:
リチウムイオン電池に比べて、エネルギー密度が低い。 - 充放電サイクル寿命が短い:
従来の亜鉛2次電池は、充放電サイクル寿命が短いという課題があった。
しかし、近年の技術開発により、充放電サイクル寿命が向上している。
まとめ、
今後、亜鉛2次電池の技術開発が進み、デメリットが解消されれば、リチウムイオン電池の代替として、幅広い分野で使われるようになることが期待されています。
<言葉の意>
デンドライトとは、樹状析出と呼ばれる亜鉛の成長したものができる現象をいいます。
亜鉛などの金属は、充電すると樹氷のような形状に成長し、セパレーターを貫通して正極側まで突き出てしまうのです。この現象を「デンドライト」といいます。
このため充電するとショートし、使えなくなる課題がありました。
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