空き家が犯罪の温床化する現状と業界団体が取り組むべき対策
近年、空き家は増加の一途を辿り、社会問題となっています。しかし、その空き家が犯罪の温床となりつつある現状は、看過できない問題になってきています。
警察庁によると、2023年の同型詐欺の認知件数は前年比117件増の436件、被害額は同9億7千万円増の48億2千万円だったようです。
この記事では、空き家がどのように犯罪に利用されているのか、具体的事例を交えながら考察したいと思います。また、詐欺対策が急がれる中、不動産業界団体が取り組むべき対策についても考えたいと思います。
1. 空き家情報を入手し悪用
詐欺グループは、様々な方法で空き家の情報を手に入れています。
- インターネット上の空き家情報サイトを検索
- 不動産業者からの情報が漏洩
- 空き家管理会社の情報管理体制の脆弱性
- 自治体の空き家リストを入手
- 内見を装って空き家情報を聞き出す
これらの情報をもとに、詐欺グループは、空き家を騙って口座を開設し、詐取金を受け取っているようです。
2. 空き家宛てに現金を宅配便で送付させる手口
詐欺グループは、以下のような手口で空き家宛てに現金を宅配便で送付させています。
- 架空請求詐欺:架空の料金を請求し、支払いを促す。支払い方法として、現金書留や宅配便による現金送付を指定する。
- 還付金詐欺:還付金を受け取るために、手数料を宅配便などで送るように指示する。送り先として、空き家の住所を指定する。
- 融資詐欺:融資を受け取るために、保証金を宅配便などで送るよう指示する。送り先として、空き家の住所を指定する。
空き家を使えば、被害者宅に人を出さずに済むし、引き出しの上限があるATMと違って、一度に多額の現金が手に入ることが空き家情報を入手する動機のようです。
3. 犯罪組織の分業化が進んでいる
空き家を利用した犯罪は、組織的に行われています。
- 情報収集担当:インターネットや空き家管理業者から空き家情報を収集する。
- 電話・メール担当:電話やメールによって相手を騙し金銭を巻き上げる。
- 現金受け取り担当:振込先の口座や、送り先の場所で現金を受け取る。
- 金銭洗浄担当:盗んだ現金や貴金属を換金し、犯罪収益を隠匿する。
それぞれ役割分担することで、組織全体の効率化を図り、摘発を逃れようとしている。
4. 巧妙化する手口を不動産業界団体としても研究する必要性
空き家を利用した犯罪は、日々巧妙化しています。不動産業界団体は、以下のような対策を講じる必要があると思われます。
- 空き家情報サイトのセキュリティ強化:空き家情報サイトの運営者には、情報セキュリティ対策を強化し、情報漏洩を防ぐための対策を講じる必要がある。
- 空き家管理業者の情報管理体制の強化:空き家管理業者には、情報管理を強化し、顧客情報の漏洩を防ぐための対策を講じる必要がある。
- 空き家所有者への啓蒙活動:空き家所有者には、空き家が犯罪に利用される可能性があることを認識し、防犯対策を講じるよう呼びかける必要がある。
- 警察との連携強化:空き家を利用した犯罪に関する情報を共有し、連携して対策を講じる必要がある。
- 業界団体による研究と対策:詐欺グループの手口を研究し、最新の情報を共有することも重要である。
まとめ
空き家は犯罪の温床となりつつあり、詐欺対策が急務となっています。空き家問題は、今や社会全体で取り組むべき課題となりつつあります。
不動産業界団体は、情報管理体制の強化、業者への研修、行政や警察との連携、消費者への啓発など、空き家が犯罪に利用されないよう、積極的に対策を講じる必要があります。
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