どうする?「山陰の新幹線」
<令和6年3月24日更新>
3月16日に「北陸新幹線」の金沢〜敦賀(福井県敦賀市)間が延伸されて開業しました。JR西日本の発表では、開業から2日間の金沢〜福井間の利用者は上下合わせて約6万人で、同区間の在来線特急の昨年の利用実績に比べ1・2倍になったと言います。
半世紀前の1973年、
①大阪から山陰両県を経由して山口県下関市を結ぶ「山陰(縦貫)新幹線」
②現在のJR伯備線をルートに松江―岡山間をつなぐ「中国横断新幹線(伯備新幹線)」
山陰でも二つのルートが、国が建設を開始すべきと定めた高速新幹線の基本計画路線に盛り込まれました。
しかし、
あれから半世紀(50年)も経つのに、山陰では一向に基本計画から進んでいません。
このままでいいのか、山陰の新幹線は?
同じように、
四国でも二つのルートが基本計画になったまま、塩漬け状態が続いていました。
①大阪から徳島、高松、松山を経て大分を結ぶ「四国新幹線」
徳島は①大阪と直結する四国新幹線を支持していました。
②岡山から瀬戸内海を経由し高知に至る岡山ルートの「四国横断新幹線」
これまで徳島を除く3県(高松、愛媛、高知)が②岡山ルートを支持しています。
ここにきて、
徳島の後藤田知事が四国4県知事会議で、②瀬戸大橋を経由する「岡山ルート」に賛同すると、方針転換の意向を表明しました。
四国は日本で唯一、「新幹線が走らないエリア」 だけに、4県が「実現可能な夢に向かって動きだす」と一致団結した誘致活動は、国にインパクトを与えそうです。
一方、
山陰の新幹線ルート計画は、どうするのだろう?
1. これまで通りに「二兎」追うのか、
2. 四国のように「一兎」に絞るのか、
ことわざに、「二兎追うものは一兎をも得ず」とあるよう、的を絞った方が"獲物"が得やすいのは道理です。
そこで、①「山陰縦貫新幹線」と②「中国横断新幹線」のどちらのルートに絞るかです。
ここはどう見ても、
②「中国横断新幹線」の方が、①「山陰縦貫新幹線」よりも、優位性が高いと言えるが、どうだろうか。
●優位性が高い理由
[1] 建設コストが安い。
[2] 開業までの時間が短い。
[3] 利用者数が多い。
●具体的な優位性
[1] 建設コスト
「山陰縦貫新幹線」は、大阪から下関までのルートで山陰両県の海岸沿いを走るため、トンネルや橋梁が多く、建設距離もかなり長いため、建設費がかなり高額になるためです。
一方、
「中国横断新幹線」は、松江から岡山までのルートでJR伯備線をルートに沿って建設するため、トンネルや橋梁が少なく建設距離も短いため、建設費を大幅に削減することができます。
[2]開業までの時間
「山陰縦貫新幹線」は、新規路線となるため、用地買収や環境影響評価などの手続きが多く、距離もかなり長いので、開業までに多くの時間がかかるためです。
一方、
「中国横断新幹線」は、JR伯備線をルートに沿って建設するため、これらの手続きを大幅に省略でき、距離も短いので、開業までの時間も短くなります。
[3] 利用者数
「山陰縦貫新幹線」は、山陰海岸沿いを走るため、人口が少ない地域を通過することになるので、多くの利用は見込めないでしょう。
一方、
「中国横断新幹線」は、JR伯備線をルートに沿って建設するため、最短で岡山へ繋がり、そして岡山を経由して全国へのアクセスが向上し、多くの利用が見込まれます。そして何よりも岡山を経由して、「中国横断新幹線」の松江から「四国横断新幹線」の高知まで一直線で結ばれます。
●まとめ
したがって、
山陰の新幹線ルートとして、②「中国横断新幹線」の方が、①「山陰縦貫新幹線」よりも、
1.建設コストが断然安い。2.開業までの時間が断然短い。3.利用者数も多い。など優位性が高いと言えます。
そして、
岡山ルートに一本化された四国の新幹線計画と連携して、JR伯備線をルートに松江―岡山間をつなぐ②「中国横断新幹線」を優先した方が的を絞り易く、整備計画格上げに向け官民一体で取り組んで行くやり方が、効果が大きいと言えます。
いつまでも「二兎を追う」ことを主張していては、現実はますます厳しく、山陰は高速鉄道網から完全に取り残されてしまうことを肝に銘じてほしい。ここは四国の新幹線計画のように、誘致活動を「山陰縦貫新幹線」より「中国横断新幹線」を優先した方が得策です。
明確な方針が固まらないまま同床異夢を続けていては、いつまでたっても山陰に新幹線は走らないでしょう。
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