国産手術支援ロボット「ヒノトリ」で鳥取大病院が肺切除手術に成功、中国・四国初の症例見学認定施設に!

近年、医療技術の進化は目覚ましく、特に手術支援ロボットの導入により、外科手術の精度と安全性が飛躍的に向上しています。その中でも、日本発の手術支援ロボット「ヒノトリ」は、国産ならではの利点を活かし、医療現場での評価を高めつつあるようです。
鳥取大学医学部附属病院は2024年末、「ヒノトリ」を活用した肺切除手術を開始し、大きな成果を挙げています。この取り組みは、中国・四国地方の病院として初めての試みであり、同時に、同院が「症例見学認定施設」に選ばれるという、重要な成果へとつながっていった実績の評価だと思われます。
◎「ヒノトリ」の優れた特徴
「ヒノトリ」は、神戸市の医療用ロボットメーカーが開発した手術支援ロボットです。
内視鏡カメラを装着した4本のロボットアームを備えており、専門医が拡大高解像度の立体画面(3D)を確認しながら、遠隔操作をして手術することができます。
従来の手術支援ロボットとして広く普及している外国製「ダビンチ」と比較し、国産「ヒノトリ」にはいくつかの独自の強みがあります。
- 日本人向けの設計
「ヒノトリ」は、日本人の体格に適した設計がなされており、特に小柄な患者への手術においても高い適応力を発揮する。手術の精度をより高めることができる点が大きな魅力だ。 - アーム同士の接触回避機能
4本のロボットアームを備えており、これらが自動的に互いの接触を回避する仕組みが採用されている。その結果、操作ミスのリスクが軽減され、よりスムーズな手術が可能となる。 - 手首まで可動するアームによる高い操作性
アームの動きが手首部分まで再現されているため、より細やかな動きが可能となる。これにより、外科医が意図する動作をより正確に反映できる。 - 国産技術による細やかなカスタマイズ性
国産の技術であるため、国内の医療機関のフィードバックを即座に反映しやすい。今後、さらに日本の医療現場に最適化された改良が期待できる。
◎中国・四国地方初の「ヒノトリ」による肺切除手術
鳥取大学医学部附属病院は、2024年12月に中国・四国地方で初めて「ヒノトリ」を用いた肺切除手術を実施しました。最初の症例は、肺がんを患う50代女性に対して行われ、この手術は成功しました。以降肺がんや肺腫瘍患者の手術も順調に進められ、現在6つの外科系診療科で年間約300例のロボット手術が行われています。
従来の切開手術と比較し、ロボット支援手術は患者の体への負担が少ないという利点があります。「ヒノトリ」による手術では、より精密な操作が可能となり、手術時間の短縮や術後の回復の早さが期待されます。これにより、患者のQOL(生活の質)向上にも大きく寄与することになります。
◎「症例見学認定施設」としての役割
2024年8月19日、鳥取大病院は、「ヒノトリ」の症例見学認定施設に認定されました。これは、一定の症例数をこなし、熟練した医師が所属する病院に与えられる資格であり、同病院が手術支援ロボット分野において先進的な役割を果たしていることを示しています。
この認定を受けたことにより、今後、他の医療機関の医師が同病院で「ヒノトリ」の手術を見学し、技術習得の場として活用できるようになります。これにより、「ヒノトリ」を活用した手術が全国的に広がる可能性が高まり、日本の医療水準向上に大きく貢献することになるでしょう。
◎今後の展望
「ヒノトリ」は、泌尿器科や婦人科領域での活用を先行していましたが、呼吸器外科への導入により、その応用範囲が広がっています。今後、消化器外科や心臓外科など、さらに多くの診療科での活用が期待されることでしょう。
また、ロボット支援手術が普及することで、地方の医療機関でも高度な手術が可能となり、都市部への医療格差の解消にも寄与する可能性があると思います。医療従事者の負担軽減や、精密な手術の提供により、患者にとっても安心できる環境が整うことにもつながります。
◎まとめ
鳥取大病院が実施する「ヒノトリ」を活用した肺切除手術は、手術支援ロボット技術の新たな可能性を示しています。日本人向けに設計された「ヒノトリ」の特徴を最大限に活かし、安全かつ精密な手術を実現することに成功しました。
さらに、「症例見学認定施設」としての役割を担うことで、全国の医療機関に対する技術提供や教育の場としても期待されることでしょう。今後、「ヒノトリ」の活用がより広がり、日本の医療レベルが向上していくことが期待されます。国産ロボット技術の発展とともに、より多くの患者に最適な治療が提供される未来が近づいていると言っても過言ではありません。
<追伸>
そして現在では、鳥取大病院には、3タイプの新型手術ロボットが導入されています。
(1)2010年に導入した米国産「ダビンチ」
(2)2022年に導入した国産の「ヒノトリ」
(3)2023年に新しく導入した米国産の「Hugo」
を導入し、3タイプ全て稼働するのは国内初だそうです。
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