中国企業が開発した生成AI「ディープシーク」利用への懸念と鳥取県のAI活用方法について

 近年、AI技術の発展は目覚ましく、私たちの生活や仕事に大きな影響を与えています。特に、文章生成AIは、その高度な自然言語処理能力により、様々な分野での活用が期待されています。しかし、一方で、AI技術の利用には様々なリスクも伴います。

◎中国企業が開発した生成AI「ディープシーク」利用への懸念

 中国企業が開発した生成AI「ディープシーク」は、低コストで高性能なAIモデルとして注目されています。しかし、その利用には、中国への情報流出の懸念があります。

 中国の国家情報法では、中国国内の企業に対して、政府の情報活動への協力を義務付けています。
そのため、「ディープシーク」を通じて取得した情報が、中国政府に提供される可能性があります。

 特に、政府機関や地方自治体がAIを利用する場合、その情報漏洩のリスクは深刻です。
政策に関する情報や個人情報などが中国に流出すれば、国家安全保障上の問題やプライバシー侵害につながる可能性があります。

 米国では、DeepSeekの使用を禁止する法案が提出されました。これは、DeepSeekがユーザーデータを中国の国営通信会社に送信している可能性があるという報告を受けたものです。

各国でも、中国製AIの利用を規制する動きが広がっています。台湾では、公的機関やインフラ施設でのDeepSeekの使用を制限しています。

◎鳥取県の生成AI活用方法

 鳥取県は、庁内のパソコンで「ディープシーク」を利用できないように規制しました。これは、情報漏洩のリスクを考慮した措置です。

平井伸治知事は、「当面遮断する。業務には支障がない」と述べています。鳥取県は、他の生成AIシステムを利用しており、業務への影響はないとしています。

 鳥取県は、2024年に策定した生成AIの活用指針で、議会答弁や予算編成作業など政策決定に影響がある分野での使用を禁止しています。一方、文章の要約や翻訳、アイデアのヒント出しは認めています。

 職員が生成AIを活用する場合は申請が必要で、入力内容を学習しない特別な生成AIシステムを使うこととしています。

◎生成AI利用におけるリスクと対策

 生成AIの利用は、業務効率化や新たな価値創造につながる可能性があります。しかし、同時に情報漏洩やプライバシー侵害のリスクも伴います。

 特に、政府機関や地方自治体が生成AIを利用する場合は、以下の点に注意する必要があります。

  • 情報管理の徹底
     
    生成AIに入力する情報は、機密性や個人情報を含まないものに限る。
  • 利用目的の明確化
     
    生成AIの利用目的を明確にし、必要以上の情報を入力しない。
  • セキュリティ対策の強化
     
    生成AIシステムへのアクセス制限や暗号化などのセキュリティ対策を講じる。
  • 日本の安全保障に支障のないAIの活用
     
    日本の安全保障に支障のない生成AIを優先的に活用し、情報漏洩のリスクを低減する。

まとめ

 生成AIは、適切に利用すれば、私たちの生活を豊かにするツールとなります。しかし、その利用にはリスクも伴うことを認識し、適切な対策を講じる必要があると思います。