人口減少対策の最重要課題の位置付けに「婚活支援」を!

 鳥取県が婚活マッチング支援事業「とっとり出会いサポートセンター(えんトリー)」の入会費を無料化する方針を固めたというニュースは、人口減少という差し迫った課題に地方自治体が真摯(しんし)に取り組む姿勢を示すものとして、大いに注目すべきです。

年間300〜400人の入退会がある中で、753人の会員数を抱える「えんトリー」の入会費無料化は、会員増加と出会いの機会拡大を狙い、ひいては結婚を希望する人々への支援強化に繋がると期待されています。

 人口減少対策において、「子育て支援」は確かに重要です。しかし、そもそも子どもを産み育てるためには、夫婦となる男女の出会い、すなわち「婚活支援」が不可欠です。

「婚活支援」は人口減少対策のまさに最初の入り口であり、最優先で取り組むべき施策と言えるでしょう。「婚活支援」を抜きにして人口減少対策を語ることは、砂上の楼閣(さじょうのろうかく)を築くようなものです。

 鳥取県の取り組みは、この根本的な課題に正面から向き合っている点で評価できます。

県子育て王国課の遠藤紅弥課長によりますと、「えんトリー」会員自分で相手を探すだけでなく、スタッフから相性が良さそうな人の紹介を受け、助言も得られるそうです。民間企業が手がけるマッチングアプリ女性の会費が無料の一方、人の手による支援がなく、個人で活動しても行き詰まる例があるという。

県からの支援を受けた民間事業者の取り組みを含め、24年12月末までに累計3285組のカップルが成立し、この内289組が結婚されたそうです。 平井伸治知事は5期目の公約で、年間でカップル500組成立を掲げ、23年度は513組が成立したそうです。

「えんトリー」の会員登録には2年ごとに1万円が必要でしたが、入会費無料化は、経済的なハードルを下げることで、より多くの人々が婚活サービスを利用しやすくする効果を期待しています。特に地方では、都市部に比べて出会いの機会が少ない傾向にあるため、このような公的な支援は非常に重要です。

 では、具体的にどのような「婚活支援」が効果的なのでしょうか?

私は以下の点を考慮すべきだと考えます。

1. 多様な出会いの場の提供

 単なるマッチングだけでなく、参加者が自然な形で交流できるイベントやワークショップの開催が重要です。

例えば、地域の魅力を体験できる婚活ツアーや、趣味を共有するグループでの交流会などが考えられます。これにより、参加者同士の親睦が深まり、より自然な形で関係を築ける可能性が高まります。

2. きめ細やかな相談・サポート体制の構築

 とっとり出会いサポートセンター「えんトリー」ように、スタッフによる紹介や助言が得られる体制は非常に有効です。

婚活は個人の性格や価値観、ライフスタイルなどが大きく影響するため、画一的なサービスでは十分な効果が得られない場合があります。専門のカウンセラーやアドバイザーによる個別相談や、自己分析のためのワークショップなどを提供することで、参加者は自身の課題や目標を明確にし、より効果的な婚活を進めることができるでしょう。

3. オンラインとオフラインの融合

 マッチングアプリなどのオンラインサービスは、手軽に出会いを探せる利点がありますが、実際に会うまでのハードルが高いという課題もあります。

一方、オフラインのイベントは、参加者同士の距離が縮まりやすい反面、参加機会が限られるという側面があります。オンラインとオフラインのサービスを効果的に組み合わせることで、それぞれの利点を最大限に活かし、より多くの出会いを創出することが重要です。

例えば、オンラインで知り合った後に、オフラインのイベントで実際に会う機会を設けるなどの連携が考えられます。

4. 地域全体での婚活支援の意識醸成

 婚活支援は、行政だけの取り組みで成功するものではありません。地域全体で婚活を応援する意識を醸成することが重要です。

地域企業や商店街などが婚活イベントに協力したり、地域住民がボランティアとして婚活をサポートする仕組みを作ることで、地域全体で結婚を後押しする機運を高めることができます。

5. 長期的な視点での取り組み

 婚活支援は、すぐに効果が出るものではありません。長期的な視点を持ち、継続的に取り組むことが重要です。

そのためには、事業のPDCAサイクルをしっかりと回し、効果測定を行いながら改善を重ねていくことが不可欠です。

まとめ

 鳥取県の入会費無料化は、これらの要素の一部を具現化する試みと言えます。今後は、上記のような点をさらに強化し、より効果的な婚活支援を展開していくことが期待されます。

行政サービスとしてやる事に、「そこまでは出来ない」「人手不足で無理」とか、なんだかんだと理屈を捏(こ)ねているのではなく、

AC Japan の広告にもあるとおり
できるできないより、動けば町が元気になる」 ですよ。

人口減少は、地方創生だけでなく、日本の将来を左右する深刻な問題です。

鳥取県の取り組みを契機に、全国の各地域でより効果的な婚活支援が展開され、少子高齢化社会に一石を投じることを切に願います。

<語意>

基礎がしっかりしていないために崩れやすい物事や、実現不可能な計画を指すことわざです。

「砂上」は「空中」とも呼ばれ、砂の上に建てた高い建物はいつ崩れるかわからないという意があります。

「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」という流れを繰り返し行うことで業務品質の改善(向上)を目指す、事業経営には欠かせないツールである。