「日本語の壁」が立ちはだかる、ウクライナ避難者の経済的自立への課題
日本YMCA同盟が主催した集会で、ウクライナ避難者の現状に関する声が上がっています。その中で、「日本語を勉強しないと、良い仕事に就けない」「母国では医師だったが、日本では自分の専門を生かして働くことができない」「将来の計画を立てられないのが、一番のストレスだ」といった声が聞かれた。これは、現地での専門職であった人々が、国家資格や言語の問題から能力を生かせず、経済的自立に苦しんでいる実態を反映しています。
在日ウクライナ避難者は現在、約2100人が日本で生活されており、そのうち成人男性は出国が禁じられているため、女性や子ども、高齢者が多い。日本YMCA同盟のアンケートでは、生活には満足しているが将来に不安を感じている避難者も多いことが明らかになっています。これは、経済的自立が果たせていないことによるものであり、その要因の一つが「日本語の壁」です。
日本財団による調査によれば、働いていない人が過半数を占め、働いている人も大半がパートタイムであるという実態が浮き彫りになっています。言語の壁が大きな要因であることは、ほとんど日本語ができないか、少し話ができる程度の人が計7割超であることからも窺(うかが)えます。この言語の障壁が、適切な職に就くことやフルタイムの仕事を見つけることを難しくしており、経済的な自立を妨げているのが実態だと思います。
昨年12月から導入された「補完的保護」の制度は、紛争避難民を難民と同様に保護し、5年間の安定した在留資格を提供する仕組みです。しかし、このプログラムが終了すると自立が求められ、そのためには言語の壁を克服し、適切な職に就く必要があるのです。しかしながら、プログラムに参加した難民の方がフルタイムの仕事を見つけることは非常に難しいのが現状で、さらなる支援が必要であることが浮き彫りになっています。
この問題に対処するためには、まず言語の壁を克服するための強化された日本語教育が不可欠です。言語力向上だけでなく、職場での実践的なコミュニケーションも重要であり、これには官民挙げた協力が求められると思います。また、資格制度の柔軟性を高め、適切な資格を有する者が自分の専門を活かせるような働きかけも必要です。
日本財団が避難者約千人に聞いた調査では、働いていない人が過半数を占め、 働いている人も大半がパートタイムで、フルタイムの仕事を見つけることが難しい状況にあるようです。したがって、雇用機会の拡充や、適切な職業紹介、トレーニングプログラムの提供が求められます。
まとめ
最後に、日本政府にも積極的な関与が求められています。補完的保護プログラムの延長や改善、難民の経済的自立をサポートするための政策の整備が必要だと思います。言語の壁を取り払うだけでなく、専門職に従事していた人たちが能力を生かせる環境づくりが求められています。
日本で充実した人生を送れるよう、 日本語教育や就職、進学をはじめ、ライフステージに応じた息の長い支援が不可欠だと思います。
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